世界一周インドの旅 その1
ツーリストオフィスを出ると車とドライバーが待機していた。
運転手はラウールという名のネパール人だった。車は白い小さなセダンのマニュアル車だった。見たことのないメーカーだ。
「こいつが今日アーグラのホテルまで連れて行ってくれる。そして明日はタージマハルなどの観光地も案内してくれる。最後は駅まで送ってくれるからそこから電車でバラナシまで行け。」
オフィサーがそう言うとラウールは笑顔で握手をしてきた。
「お前はネパール人か?」
俺はこっちの国ではたびたびネパール人と間違われる。
「いや、日本人だ。」
「そうか。ごめんごめん。笑。助手席に乗ってくれ。」
そして夕方、アーグラに向けて出発した。既に日が落ちかけていた。
デリーは空気が悪くスモッグが凄いため夕日にいい具合にフィルターがかかりそれは見事に綺麗なものだった。
走り出してしばらくすると俺はすぐに眠ってしまった。慣れないインド人に揉まれ精神的にかなり疲れていたのだろう。
途中で目が覚めると高速道路を走っていた。外は既に真っ暗だ。
「目が覚めたか?チャイでも飲まないか?この先にサービスエリアがある。」
「おーけー。」
インドに入って初めてのチャイだ。
ラウールが奢ってくれたので値段はわからなかったがおそらく10ルピー程度だろう。小さなカップに入った熱いチャイはとても甘く、噂に聞いていた通りとても美味かった。
サービスエリアを出るとふたたび高速道路を走りだした。
「アーグラまであと150kmだ。1時間半ほどで着く。夕飯は何が食べたい?」
午後3時ごろ、疲れ果ててニューデリー駅の横にあったカレー屋でカレーとナンを食べていたのでそうお腹は空いていなかったが、せっかく聞いてくれたのでいらないというのも申し訳ない気がした。
「なんでもいいよ。」
そう言うとラウールはチキンは好きか?と聞いてきた。好きだと答えるとじゃぁいい店があると言った。
「ホテルにチェックインする前に食事しよう。いいか?」
「わかった。」
車の中では色々話した。ラウールは結婚していて子供は2人いる。奥さんもネパール人で結婚は7年目だった。
しかし俺の英語力では所詮その程度の簡単な英会話しか出来なかった。
話が特別弾むわけでもなかったので世間話が済んだらふたたび眠たくなってしまった。
そうこうしてるうちにレストランへ着いた。こ綺麗な白と水色の内装で統一されたイスラエル風のレストランだった。メニューはほとんどカレーだった。値段も安くはなかった。
やはりカレーか。そう思いながらチキンカレーにライス320ルピーを頼んだ。
昼に食べたカレーはルーにもナンにもびっしりパクチーがついていた。俺はパクチーが大嫌いだ。だから少し恐る恐るではあったが今回のはそうではなかった。
むしろ日本のカレーに似ていて美味かった。高いだけのことはある。
ラウールは野菜カレーとナンを食べていた。食事が済むとホテルへ向かった。
「ビールは好きか?」
「好きだ。」
「じゃぁ明日はビールを飲みに行こう。インドのビールは最高だ。」
「明日のタージマハルは何時がいい?」
「んー10時ぐらいかな?」
そう答えると遅いと言われた。
「タージマハルは日のでからの時間が1番いいんだ。7時にロビーで待ち合わせよう。」
朝は苦手だが、せっかくここまで来たので言うとおりにしよう。
「わかった。」
「早朝、タージマハルをみてそれからホテルに戻り朝食を取るといい。」
ホテルは朝食付きか。通りで無駄にツアー代が高いわけだ。と思った。
「タージマハルの入場には750ルピーかかる。両替はしておかなくて大丈夫か?」
「大丈夫だ。」いや大丈夫じゃねー。高すぎだろ。ただでさえ高いツアー代払ってんのにどんだけ金取んだよ。と、心の中で叫んだ。
ホテルに着くとロビーで大きなシャンデリアに出迎えられた。
チェックインを済ませ部屋に入ると大きなダブルベッドがあった。壁にはテレビも備えられていた。
こんなホテルじゃなくていいからもっと安くしてくれよ。という思いと久々の大きいベッドに少し喜びを感じていた。
しかしこのホテルロビーは大きく綺麗だったもののwifiはない、エアコンもない、シャワーはお湯が出ないという中身がすっからかんのホテルだった。
The Taj Redidency
まだインドに入って一度もネットが使えていない。現代っ子の自分には2日も3日もネットが使えないなんてストレス以外のなにものでもなかった。仕方がないので諦めて水を浴び、さっさと眠る事にした。 H.N.T.
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